2021/10/11 英語の勉強進捗【40】

英語学習進捗報告 兼 メモ

英語を楽しく勉強しているので、やったことを報告したりメモしたりする。
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2021年10月4日~10月10日の学習時間
【502分】

久しぶりに映画を見に行ったのでちょっと多め。よしよし。

今回の記事長くなっちゃったけど、最後の方で新しい情報とか載せてるので読んでほしい。構成の都合上最後になっちゃった。

今週やったこと

・映画「素晴らしき、きのこの世界」見に行ってきた

久しぶり(1年半以上ぶり!)の劇場での鑑賞。ぎっしり満席になるタイプの映画でもなく、小さなシアターで、短めな87分の映画。お客さんの入りは多く見積もっても3割ぐらい?後ろにもっといたかなあ?

映画は、美しいキノコが子実体を伸ばしていくタイムラプスや、ものが分解されていく様子などキノコのすばらしさがよくわかった。後半の、きのことヒトとのかかわりについてはちょっとメリットばかりが語られて魔法の効能のある生物のように紹介されたところが気になった。健康不安がある人、精神的に不安定な人は見るときに影響されすぎないように意識しておいた方がいい。研究はどんどん進んでほしいと思うけど……

英語も聞き取りやすくて、字幕を見ながら英語も聴いてってやりやすかった。本当にリスニングするなら字幕を見ない方がいいらしいけど、劇場で見る映像の意味があやふやなのはちょっともったいないもんね。やっぱ前にも見たことがあって筋を知ってる映像でリスニングするのがよさそう。(真面目にやるなら)

・Duolingoに提案してた修正案が採用された。

でも元がどんなんだったか覚えてない。たしか、日本語でよくある「語順が変わっても意味は全く同じ」っていう文章で、語順の些細な違いで不正解になったので「私の回答も正解のはずでは?」っていう報告を送信したんだ。

・自分の四コマで英語版作ってみた。

事の発端は、いつものように過去作を投稿したら、たまたま文具王にRTされた。そしたら海外の文房具ブログを書いてる方のTLに届いたらしく、「これは何が起こっているのですか」的なコメントで引用RTされた。

「おっ、せっかくだから英語版作ろうかな?」と思って作り始めてみる。

他の方が「”私はバーバーショップをオープンしました。(鉛筆のための。)”」と解説してくださって、もうコメント主さんは理解したようだったけど、せっかくの機会だったので最後までやってみたのが上のもの。

昔の私は、日本の映画でも漫画でも、英語に訳したとたん情緒が無くなるような気がしてしまって「あーん細かなニュアンスが伝わらないよこんな訳じゃ……!」って嘆いたこともあるけれど、勉強して感じたのは、国や文化・言葉によって伝わるニュアンスなんて変わるということ。全く同じ言い回しをできたとしても、他の文化ではぴんと来なければ意味がないのだ。だから伝わる言い回しに変えるのだ。

今回の英訳でも、最後のセリフ「これを一生の仕事にしたい……!」がすごく難しくて、このニュアンスをびしっと再現できなかったの。「一生の仕事」を Lifework とか Life’s work とかで表現しても、このぶんぐちゃん(キャラの愛称)の「一所懸命さ、ときめき、思いつき、興奮、期待」みたいなのがついてこない気がするんですよね。

なので、「I believe」で「これこそが私の仕事」的な?表現に?したんだっけな?

そのときは結構考えたんだけどな……

一応私だけで英訳したんじゃなくて、おかしくないか身内(私よりずっと英語ができる)に監修してもらっています……

・英訳するとき、Gingerが役に立つ

前にも紹介した、文法チェックしてくれるwebツールGinger。

Ginger 英文チェッカー
http://www.getginger.jp/

自分で作ってみた英文が文法的にありえなくなってないかをとりあえずチェックできる。私は初心者すぎてBe動詞が間違ってる、冠詞が抜けているなどをよくやるので助かっている。

で、なにかチェックした時に「他のいいまわし」が提案されるところが便利なのだ。

Gingerの入力画面例
Gingerの入力画面例

一番上のボックスに「I like sushi very much.」って入れてチェックしてもらったよ。そしたら文法上は間違いが無くて、指摘が無かった。だからこのままでも問題ないんだろうけど、下にずらっと「他にもこんな言い方があるよ」っていう例がある。 私が作った文章よりも、きっと自然な言い回しなんだろう。あと、とっさに思いつかない文もある。「そっか、こっちの方がいいな」と思ったらそちらを採用する。Google Chromeの拡張を入れてるから、文をドラッグすればサッと翻訳して、意味も一応確認できる。

・擬音表現に悩んだ

あんまり気にしなくてもいいんだろうけど、漫画の擬音表現って海外では伝わらないのよね。最近は日本のまんがに慣れてきて、みなさんご存知なんだろうけど、それでも「ゴゴゴゴゴ」みたいのが伝わるとは限らない……

「ゴゴゴゴゴ」って海外向けにはどうしたらいいんだろう?「GOGOGOGOGO」だと、むしろ「Go」と被って「??」っとわけわかんなくなるんじゃないか。

調べたら「Whrrrrr」とか書くらしい。なんか音の想像がつかんが……とりあえずそうした。「スッキリ」もどうしよう?と悩んで、「Sharp」にした。尖ったわけだから。

擬音を検索しているとき、こんなサイトに出会った……

Japanese-to-English SFX Sound Effects Translations @ The JADED Network
http://thejadednetwork.com/sfx/

日本の!漫画でよく使われているサウンドエフェクツを!一覧にして解説してくれているサイトだ!!!

こんな感じで……

http://thejadednetwork.com/sfx/browse/gogogo/

ちゃんとどういう状況なのかも解説がある。

こうしてみると書き文字って不思議だね。

字体とか、音とかでどういう音が鳴ってるかを伝えてるんだけど、日本人で漫画を読むことに慣れている人はほぼ描き文字を意識せずに環境音みたいに無意識で受け取って、他の情報を理解するときの補足にでき、邪魔にならないでしょ。

日本人同士だったらどれぐらい「同じ表現で同じ音を聞き取っている」のかは気になる。研究した人いそう。(また今度調べてみる……)「このゴゴゴゴという表現で感じた音はどの音が一番近いですか?」って10種類ぐらいのゴゴゴゴっぽい音を聴いてもらって、どれぐらいみんなが「これだ」って思うものが被っているか。作者にも聴いてみて、作者が考えたのはこんな感じ、それはみんなに伝わったかな?ってのも興味ある。

 

・他にも言いたいことあったんだけど長くなりすぎたので今回はこの辺で……


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【映画】「鳥」見た

ヒッチコックの「鳥」(The Bird)みました。

タイトル、「The」なんだ。わかるようなわからないような。「A」じゃないのはなんでだろう。でもこういう場合に「A」なのもよくわかんないもんな。じゃあTHEでいいのか。

 

1963年の作品だそうです。もうすぐ60年になるってこと?ウオオ……

わりと60年代の映画も、洋画・邦画それぞれ見てるものがあるよ。あんまり古いかどうかって気にしないんですよね。今も見れるような映画だったらたぶん名作とか名監督の作品が多いんだろうし、見る価値はある。見る価値はあるとか言って思ったけど見る価値のない映画ってどういうのだろうね。思いつかないな。ひどい思想を刷り込まれる内容の映画とかだったら「みんな、これを見るな!」って思うかもしれないけど、ふつうに作品として完成してたらだいたい見どころとか見る価値があると思うですよ。

まあそれはさておき……「鳥」ですよ。

パニック映画である

まさに。

昔はいっぱいあったようなイメージ。親世代から聞く「印象的な恐怖映画」って、パニックになってるところが重要なのであって、映画らしいメッセージとか筋の通った脚本とか、そういうのいらないってのも一理あるなあと。

見た人の感想コメント見てると「監督がこの映画で伝えたいことは何なんだ?」みたいなのとか「メッセージがない」とか言われてるんだけど、それって必要かなあ。この「鳥」っていう映画は、つまり、

「なんか普段なじみのある鳥がさ、意味もなく人を襲ってくるようになって、しかもそれがいっぱいいたら怖くね?」

っていうのを映像化してみせてるっていうことだよね。だから全然問題ないのですよ。なんかちょっと恋愛とか人間関係とかも出てくるから、そこにメッセージとか解決すべき問題とかゴールする目標とかあるように感じちゃうんだけど、飾りですよ。何にも知らない人間が鳥に襲われて逃げまどってるよりは、ちょっと共感出来て人間味のある人が感情を持ってそこにいて、さらに「鳥から逃げてる」のがこわいわけよ。

今だったらむしろ、客観的な演出として、ニュース映像のように世界中で同時多発的に鳥が人間を襲うようになっている……なんだかわからないけどどんどん範囲が広がっているようだ……っていうのを見せるだけってのがこわいかもしれないね。4Dとかで観たいかも。いろんな方向から鳥が襲ってくる感じ。そういうアトラクション映像みたいな楽しみ方をすることができる映画だったと思いますよ。


筋がある、理解できる内容だろうと思ってこの映画を見ると最初から引っかかりまくりですよ。冒頭の物語のきっかけを追ってみると、

お嬢様でやんちゃなお金持ちの女性は九官鳥を買いにペットショップに来ていた。商品の確認で店員が席を外したところにナイスな男性がやってきたので、からかってやろうと店員のふりをして接客した。男性にはすべてバレていた上に逆にからかわれた。男性は何も買わずに帰ったけど、妹へのプレゼントとして欲しがっていた鳥を持って、明日家まで押しかけちゃおうと女性は考える。

サンフランシスコから車を長いこと走らせてようやく男が週末を過ごす家にたどり着いた女性、なんだかお互いに好きになっていた。結婚しちゃうかも。

みたいな話ですよ……好きになる要素がよくわからないもん。あえて言うなら

メラニー(女):美人。金持ち。イタズラ好きで行動力あり。誤解されやすいところがかわいいかもしれない。

ミッチ(男):イケてる。士業。家族思いで包容力もありそう。話せばわかってくれる。

って感じではあるけど……

あったばかりのミッチの元彼女とメラニーがあっという間に心通わせて友人になっちゃうのもすごい。でもまあこれはあるかもしれない。


英語の勉強にはなったと思う。聞き取りやすくて、しゃべってる内容も分かりやすく、「そういう時はこんな感じでしゃべるんだな」って思う箇所が多かったし、よく聞くと訳との違いや訳されてない場所なども聞き取れてその辺の違いを見るのも楽しい。みんな長いセリフをしゃべらない、軽い会話なのもよかったかも。

ホラーとしては今の映画に慣れていると映像がチープで、怖くないから怖いのが苦手な人にも安心できるかも? 鳥は出てくるけどこの映画を見て「鳥のイメージ悪くなった」ってこともたぶんないだろう。たくさんいると怖いかも。

鳥、動いてない偽物の鳥もたくさん設置されてるのがわかるから「アハハにせものがいっぱいだ」とも思うんだけど、むしろ本物の動きしてる鳥がどうやって撮影されてるのかがわかんない。足元にいる鳥とか、手すりや屋根にいる鳥の中に本物も結構混ざってるように見えるんだけど……

 

【追記】

映画の舞台になった場所の地図見てたら、THE BIRDS CAFE っていうカフェがあった。人気のカフェみたいだ。

裏側から見た方がわかりやすいか……でもなんかかすんでるな。

【映画】「ケープタウン(ZULU)」みた

amazonプライムビデオで見放題対象になっていて、長らくウォッチリストに入れていたものの見ていなかった映画が本日(5月6日)見放題最終日だったので見た。ちょうど何か見ようと思ってたところだったし。

ケープタウン(ZULU)

 

以下、感想(ネタバレ含む)

 

暴力、やくぶつ、性的なシチュエーションということでR15作品なんですが、容赦なかった……どんどんひとがしぬ……

南アフリカはケープタウンが舞台で、植物園で女性がころされているのが見つかったため警察が捜査を開始。主人公たちは警察の刑事たち。

まあ出てきたひとはみんなしんでしまうか何らかのぼうりょくに会うと考えてみててまちがいはないでしょう……何ていうか、物語には優しさというか甘さというか、「○○したら命は助けてやる」とか、こういう間柄の人は無残に殺されたりしないでなんかのちからが働いて命を取り留めるんだと思うじゃないですか。そういうの無いですよこの映画には……

序盤で、刑事たち三人はもともと親しかったようでホームパーティーをしたりするんですよ。そこで黒人警部のアリさんの部下の妻がアリさんたちの上司にあたる人を激しくののしるわけですよ。差別主義者で何人もの黒人をころしたやつだ、その後許されて以前よりお金も得ているなんて!と。それを聴きながらアリさんは複雑な気持ちになりつつも、「僕を登用したのもその人だし、マンデラ大統領はかつて”和解するためには敵と一緒に働くんだ、そうすれば仲良くなれる”と言っていたよ」とマンデラさんのことばを引用しながら「彼を恨んでいない、差別は過去のことだよ」というわけですよ。

そんなアリさんが……とてもいい人だったアリさんが……いい人なのを何度も踏みにじられ、正義を守っていたら結局大切なものをどんどん失っていき、復讐の鬼となってしまう……


でも、そんな心の動きは納得のいく描写だったな。そりゃそうだろってかんじだし、動機付けとしてはもっと早めに心を壊されてしまって復讐の鬼になるというプロットもあるだろうしありがちに思えるけど、この映画はもっともっと抑えた表現で、アリさんは最後の最後まで正しく悪と対峙しようとしていたように見えた。それは個人だけが背負っているわけではない、「過去」と「差別」との戦いのようにも見えた。でも数々の蹂躙と、過去の記憶・体験による「諦観」というか、結局この差別と現在の社会は「どうしようもないもの」なのだとあきらめてしまったのだろう。最後は個人的な理由で行動し暴力を暴力で返して、自分にもその果てに死が巡ってくることを受け入れてしまったというか……


あんまりにも救いがなかったし、ちょっと必要以上に恐ろしい場所のように「ケープタウン」を描いていたので最後の方は変な笑いが出て「オイオイw」って笑っちゃった……

ケープタウンのタウンシップとすぐそばにある素晴らしい景観と、都市と、富裕層が住む立派な家々と、きれいな浜と海、最後には移動してナミビアの広大な砂漠まで見れるので映し出される景色はすごくいいですよ。ギュッと詰まっててワタシ的にはすきな風景がたくさん見られてよかった~。

フランス映画なんだってことを見終わってから知った。英語とアフリカーンス語(と、もしかしたらズールー語)で会話が進むのでそのあたりも見どころ。

原題は「ZULU」なんですね。これもちょっと短すぎて「そんなタイトルでいいの?」って感じかなあ。 テーマはズールーの問題ってわけでもないし……だからと言って邦題の「ケープタウン」もいまいち……。「そこは神に見捨てられた街」っていうキャッチもひどいと思うよ。

【映画】「シンドラーのリスト」観た

「シンドラーのリスト」見ました。初めて。

その前まではアウシュビッツのドキュメンタリーとインタビューの番組を見ていたから、じゃあその流れで観てみようかなと。
2021/02/18 アマプラで見たシリーズ紹介「アウシュビッツ ナチスとホロコースト」

すっかりこの映画の存在を忘れていた。amazonプライムビデオのウオッチリストに入れていたんだけど、なかなか見る機会が無くて。あとどういう内容かもなぜか全然知らずにいた。ユダヤ人と収容所の話だったとは……いやさすがに知らなかったわけじゃないだろうけど、ドキュメンタリーを見てから改めてその辺のことを調べてたら「映画・シンドラーのリストでは……」と言及されてたり、関連作品として出てきたりして「あ~そうだったか」と思い出したというか。

英語の勉強にもなるかなと思って。ただ初めて見る作品だからその辺はどうしようか迷った。それについてはまた英語の勉強メモの記事に書きますわ。
英語の勉強まとめ

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感想

ガンガン ネタバレしようと思うけど……ネタバレとかそういうお話ですかね? もう30年近く前の映画だし。私以外はみんなみてるでしょ。

でも「いつか見たいので内容は知りたくない!」という人はこの先を見ずにとにかく映画を早く見れ。見れ……

あらすじを追ってもしょうがないのでその辺は端折る。


バディものだった

そりゃもう悲劇のさなかの話なので、理不尽にどんどん人が死んでいく。同じスピルバーグ監督の「プライベート・ライアン」も見たけど、同じことだよね。戦争だし、「自分たちじゃない方」はころしたほうが正しいという時代と世界なわけだ。唯一死ななくてすむ方法は、「生かしておけば便利、使える、役に立つ」立場になる事だけ。利害関係だけよ。利害関係のない間柄では、弱くて武器を持ってない人間はきっかけや理由もなくころされてしまう恐怖にずっとおびえる状態が続いている。

だからもちろん、ポルトガル系ユダヤ人のイザックさんがころされないでいるのも「使える、使いたい」人間だからだという理由だったんですよね。最初は。

主人公はドイツ人のシンドラーさんで、お金儲けのためにやってきて「戦争を利用して、低予算で工場を建てて軍事需要にこたえることで安定した事業をし、タダで使える労働力を存分に活用するぞ!!」みたいにチャンスをつかもうとやってきたのですよ。

そしてイザックさんという、ユダヤ人に顔がきいて仕事の出来る人を捕まえて一緒に働き始める。最初はイザックさんが奔走するんですね。放置しておけば収容所へ連れていかれてしまう仲間たちをどんどん「技能者」に仕立て上げて、工場で働いてもらう。

ドイツ人とユダヤ人、イザックさんから見ても「この人はどういう人なのか?」とシンドラーさんのことを信用しきれないし、シンドラーさんも「ユダヤ人だけど使える労働力」という程度に考えているところから始まっているんだけど、それが段々信頼を得てともに協力して乗り越えていくところがまさに……バディものじゃないですか……

史実をもとにしていても、映画なのでそういう風に楽しんでもいいと思う。完全なノンフィクションでもないわけだし。

3時間もある映画は長いのだけど、外せない歴史の話をきちんと織り込んで、状況は日増しに悪くなっていき、もうこの世界で悲劇は避けられないのではないか? という不安を描いている。その中で、少しずつお互いに信頼を得ていくところが丁寧に描写されていると思う。

・シンドラーさんはなぜ周りのドイツ人たちに協力を得られたのか。

・非道な所長・ゲートにどう取り入って友人になり、交渉することができるほどの間柄になれたのか?

・収容されていた囚人たちがどうしてシンドラーさんを信じて、慕うことができたのか。

そういう大事なところがしっかり見られたと思うんですよね。他の人のレビューを読んでたら「長い、もっと短くもできたはず」という話もあり、まあそれはそうかもしれないけど丁寧に描くこともまた一つの手法だと思うんですよね……


ラスト

最終的には、シンドラーさんがリストにのせて「買い取った囚人」たちは逃げ切ったわけです。逃げ切ったというのは「生き残った」という意味で。

他の人のレビューには「ラストはとってつけたようなお涙ちょうだいのセリフ」と書かれていたけど、あれはシンドラーさんがずっと「言ってはいけなくて、自分にもウソをつきながら、持ちつづけていた本当の気持ちと後悔」なわけですよね……

メインビジュアルの赤いコートの女の子、あの子を見てから。あの子がシンドラーさんの「助けたいもの」として心に残って、そして助けられなかったものの象徴としてずっと存在していて、いま目の前の「うまくやらなければ失う」人々のことを何とかするためには、金もうけが大好きで囚人を利用して一旗揚げようとする人物を演じつづけていかなくちゃならなかった……

工場で働いていた人たちはシンドラーさんが自分たちのために動いてくれてることに気づいていたけど、行動の意図を確認しただけで壊れてしまうような危うい世界では本心を知ることもできなかったし、お礼を言ったり言われたりすることもはばかられた。別れの時にようやく、「お互いにわかっていた」ことを知って、そしてようやく本心を言える世界が到来したんですよ。だからシンドラーさんはあふれてきた気持ちを全部言ってしまったんですよ……「人を救いたい」とくちにしたり態度に出すと誰も救えなくなってしまうという緊張した世界がようやく終わったということなのです……


ラストのラスト

終わった後の世界について語られたところもよかったですね。このひとたちは存在したんだ。とひとつひとつ石が置かれるたびに実感します。


また観たいな。最初のほうによくわかんないシーンがあったから。確かに白黒で誰が誰だかわかりにくいのは難だ。あと見返したいときは長いのもちょっとひるんでしまうな。

原作小説も読みたい。しかしもしかして日本語訳は絶版? なんということだ。電子版も無いじゃないの。古本では読みたくないな~。英語で読むのはきついな。(てか私じゃむりだろ)

2021/02/18 アマプラで見たシリーズ紹介「アウシュビッツ ナチスとホロコースト」

みました。

ある程度知ってはいるんだけど映像で見ると重いね。

再現映像(ドラマというほどではなく、解説の後ろにそのシーンを再現した映像が流れる)と、収録時の現地と、実際に残っていた映像・写真と、かかわった人のインタビューを中心に。ほぼ時系列で、始まりから終わって加害者側の裁判・死刑まで。

救いなどどこにもなくて、今後の世界に再びこういったことが起こらないようにしようという気持ちを再認識するばかり。

私はあんまり善の人間ではないので、この場合の「悪」とされる方に私がいてもおかしくないと思うし、被害者側には悪も善も強も弱もなくただ「それに該当したから」という理由しかないわけで、被害者側になることだってあるだろう。


史実としてはあまりに数字が大きくて、ほんと全然ぴんと来ないのが正直なところ。いろんな立場の人がいて、○○人は何人、○○人は何人、と分けて考えてもよくわからなくなる。まだ規模感がつかめてないのかもしれない。

現地の今の映像など見ると、本当にのどかできれいな場所なのでいっそうふしぎに思える。

施設や建物自体は、証拠隠滅のために破壊したり、のちに踏み込んできた他国の軍が憎しみのあまり破壊した?りして、残っている場所が少ない。そのせいで「本当にそんな部屋があったのか?」という疑問がわいちゃうのかもなあ。


見どころというか白眉なのはやはり実際の人々の体験談。
(以下、見返して間違いの無いように書いているわけではなく、感想として発言や内容を記憶で書いています)

体験談の危うさというのもあるのだけど、そこは資料と照らし合わせたりする・実際どうだったか他の方面からも確認する・同じ証言の突合せなどが行われる必要があるだろうし、しているだろうと思う。

前にamazonプライムで見た「塀の中の少年たち」の感想でも書いたけど、加害者側の証言がいっぱいあるのもすごいことだと思う。

当時アウシュビッツで働いていたという党員のグレーニング氏の証言は、被害の全貌が明かされつつ間に証言が挟まれることによって「ええ……」「なんなんだこの人……」って嫌な気持ちになってくるのね。(→最後まで読んでね)

「最高の思い出ですね!」って語るわけですよ。虐殺したというわけではなく、彼は事務員というか……直接は虐殺とかかわりのない部署にいたのですが。

強制収容所へ連れてこられる人たちの持ち物と服は全部奪って、現金も貴重品も外貨も全部没収する。それを本国へ送るために仕分けたり計算したりしていたと。横領は当たり前で、同僚たちと一緒にいろいろ盗んで、裏金で銃を手に入れたり、酒を飲んだり食べたり騒いだりしてあのころはほんとに楽しかった……ということを笑顔で語るわけです。

一度は本国から査察が入ったけど、ロッカーがあかない!とウソを言って、うまくやって逃れることができたんだ! などというし、戦後も裁判にかけられることは無く、ふつうに労働し、家族と暮らし、裕福に過ごしたと。

インタビュワーが「たくさんの人がそこで亡くなっていた、そこで働いていたことに対する罪悪感は無いんですか? 裁判を受けなかったのですか?」と聞くけれど「罪悪感なんてありませんよ」はっきり言う。「私にだって、より豊かな生活を求める権利はあります」


「家族に『あなたはひとごろしとおなじよ』と言われたので、そんなことを二度というな!今度言ったら家を出ていくからな!と言いました」

っていう話が最後の方にあって、「本当にこの人は何なんだ……開き直り方がすごい」と思ったんですけどね。

最後の最後で、その人が

「私はその出来事を忘れることにしていたが、いま『あれは無かった』という人が増えてきている。だから私は語ることにした。『あれはあった』確かにあったんだ。それを語るためにここまで生きていたんだ、これはわたしの使命だ」

と強く言ったんですね……当事者としての責任の果たし方がそこにあったんだなあと……
いいことだと肯定もしないし悪いことだったと否定もしない、ただ「あった」、それを伝えようとしているんだな。


とにかくかかわって虐殺した人も、されたひとも、生き残った人も死んだ人もみんな普通の人だった。完全に悪魔のような人間がそこにいたわけではなかったのに、事態は最悪の状態になるってことがあるんだなあとジワジワ怖くなる。

今後こういうことはおこらない、私は大丈夫だ、なんてちっとも思えないのだ。
そして加害者被害者どちらになるかもわからない……一般市民のまま大きな渦を作ってしまう前に、小さなきっかけのうちにつぶしていくしか、出来ることはなさそうだ。